1988-04-26 第112回国会 参議院 法務委員会 第3号
旧刑事補償法については、この法制定の当時の司法大臣が衆議院において「国家ガ賠償スル義務モナシ、補償スル義務モナイノデアリマスケレドモ、国家ハ一ツノ仁政ヲ布キ国民ニ対シテ同情慰藉ノ意ヲ表スルノガ、此法律ノ精神デアリマシテ、」と、こう述べているんです。要するに国民の権利じゃないんだ、まして国家の義務じゃないんだと。国民に対する「一ツノ仁政」にすぎないと。これが旧刑事補償法の基本的な考え方なんです。
旧刑事補償法については、この法制定の当時の司法大臣が衆議院において「国家ガ賠償スル義務モナシ、補償スル義務モナイノデアリマスケレドモ、国家ハ一ツノ仁政ヲ布キ国民ニ対シテ同情慰藉ノ意ヲ表スルノガ、此法律ノ精神デアリマシテ、」と、こう述べているんです。要するに国民の権利じゃないんだ、まして国家の義務じゃないんだと。国民に対する「一ツノ仁政」にすぎないと。これが旧刑事補償法の基本的な考え方なんです。
ニイケナイコトデアル、サウ云フ観念ハ茲二考ヘラレナイト同時ニ、國家が賠償シナケレバナラナイ、所謂不法行爲ニ對スル損害ヲ賠償スルト云フ意味ノ賠償ト云フコト、國家ノ権力行爲ニサウ云フ観念ガ是非伴ハナケレバナラヌト云フコトノ、積極的理由モ亦少シモ存在シナイノデアリマス、國家ガ賠償スル義務モナシ、補償スル義務モナイノデアリマスケレドモ、國家ハ一ツノ仁政ヲ布キ國民ニ對シテ同情慰藉ノ意ヲ表スルノガ、此ノ法律ノ精神デアリマシテ
しかし、そのときの司法大臣、これは昭和六年ですね、濱口内閣、第五十九回帝国議会のときですが、司法大臣の渡邊千冬という大臣が提案理由の中で言っている趣旨は、説明は、「国家が賠償スル義務モナシ、補償スル義務モナイノデアリマスケレドモ、国家八一ツノ仁政ヲ布キ国民ニ対シテ同情慰藉ノ意ヲ表スルノガ、此法律ノ精神デアリマシテ、国家が不法ナ何カノ事ヲヤッタカラ其賠償ヲ致スト云フヤウナコトハ、此法律ノ精神ノ中ニハ少
わが国の旧刑事補償法でも補償が行なわれておったわけてすが、当時の司法大臣——当時は司法大臣と申しましたが、有名な答弁に、「国家が賠償スル義務モナシ、補償スル義務モナイノデアリマスケレドモ、国家ハ一ツノ仁政ヲ布キ国民ニ対シテ同情慰藉ノ意ヲ表スルノガ、此ノ法律ノ精神デアリマシテ」戦前ですが、こう言っておるわけですね。
「国家ガ賠償スル義務モナシ、補償スル義務モナイノデアリマスケレドモ、国家ハ一ツノ仁政ヲ布キ国民ニ対シテ同情慰藉ノ意ヲ表スルノガ、此法律ノ精神デアリマシテ」と明らかに恩恵的なものだということをうたっておるわけです。そうすると、そういう精神から見ると、この答弁の精神にもありますけれども、大体司法官、検察官には故意・過失などというものはあり得ないんだと。もうほんとにこれはあらゆる場合に正当なんだと。